「掃除しなきゃいけないことは分かっているのに、体が動かない」

「気づけば部屋が散らかって、どこから手をつければいいかわからない」

「片付けができない自分が嫌になる」

もしあなたがこう感じているなら、まず伝えたいことがあります。

ADHDの人が掃除ができないのは”怠け”ではなく、脳の特性によるものです。

つまり、あなたのせいではありません。

ADHDの特性によって掃除が苦手になる理由は、明確な科学の上での根拠があり、正しい方法を選べば改善できます。

また、全部を自分一人で抱える必要もありません。

この記事では、ADHDの人が掃除できない理由から、今日からできる改善策、部屋を片付けられるようになる仕組み作りを解説します。

ADHDの人が掃除できないのはなぜ?原因は脳の特性にある

ADHDが掃除できないイメージ画像。物が散らかっている。

ADHDの人が掃除を苦手とするのには、はっきりした理由があります。

それは「意志が弱いから」でも「やる気がないから」でもありません。

ADHDの特有の脳の働き方が関係しています。

以下では、特に掃除に影響しやすい4つの特性を解説します。

1. ワーキングメモリーが弱く、作業の順序だてが難しい

ADHDの特徴のひとつに「ワーキングメモリーの弱さ」があります。

これは、短時間で情報を保持し、それを使いながら行動する力のことです。

掃除には多くの工程が必要です。

  • 何をどこに片付けるか考える
  • 分類する
  • 優先順位を決める
  • 片付けた後の動線を考える

これらを同時に処理する必要があります。

しかしADHDの場合、これを頭の中で整理することが難しく、「どう進めればいいかわからない」→「動けない」という状態に。

2. 注意が逸れやすく、作業が中断される

掃除を始めても、すぐに別のものが目に入って意識が逸れてしまうのも典型的な症状です。

例:

  • 本を片付けようとして → 読み始めてしまう
  • 机を片付けようとして → 引き出しの中の整理を始めてしまう
  • 洋服を畳もうとして → そもそも洗濯機の掃除に移ってしまう

つまり、結果的に 「終わらない」「中途半端な場所が増える」という状況に陥ります。

3. 過集中が発動して“やりすぎてしまう”

お風呂の水垢がクエン酸で落ちなくて力任せに掃除する様子の女性。

ADHDは集中が苦手な反面、特定のことにのめり込む「過集中」も起きやすい特性があります。

掃除をしようとして、

  • 関係ない細かい部分にこだわる
  • 徹底的にやりたくなってしまう
  • 結果、疲れて長続きしない

このように、完璧主義な過集中が逆効果になるケースも多いです。

4. 汚れや散らかりを“視覚的に把握しにくい”

ADHDの人は、空間認識や視覚の整理が苦手な傾向があります。

そのため、部屋の乱れが「どの程度問題なのか」を判断しにくいことがあります。

  • 汚れてきたことに気づかない
  • 散らかった状態に慣れてしまう
  • 「どこが問題なのか」が分かりにくい

結果として掃除の優先順位がつけられず、行動につながりません。

今からできるADHD向けの掃除改善策

掃除や片付けは、正しい方法を選べば必ず改善できます。

ADHDの特性に合ったやり方を取り入れることが重要です。

以下では、今日からすぐに実践できる具体策を紹介します。

1. 「5分だけ掃除」を習慣にする

時間のイメージ画像

ADHDの人にとって「掃除を始める」ハードルは非常に高いものです。

しかし、脳は「小さな開始」で動きやすくなります。

おすすめは1日5分だけ、1カ所を必ず時間内で終わらせるといった内容です。

たとえば

  • 机の上のゴミだけ捨てる
  • 洗面台のコップだけ洗う
  • 床にある服だけ拾う

この程度でOKです。

習慣にすると“掃除の負担そのものが減る”ので、ADHDにとって非常に相性がいい方法です。

2. 片付けを「選ばなくていい仕組み」にする

ADHDは「どこにしまうか判断する作業」が大きな負担に。

選ばずに済ませる収納を取り入れるのがおすすめです。

例:

  • カゴに全部入れる方式
  • 決める場所を1つだけにする
  • 分類は“ざっくり”でOK
  • 引き出しは「とりあえずBOX」を作る

完璧に収納しようとすると失敗するため、「とにかく戻せる仕組み」に寄せるのが最も続きます。

3. 視覚的にわかりやすい環境を作る

透明ボックスでの収納。文房具。

ADHDは「見えないものを忘れる」特性があります。

そのため、収納は“透明”や“開けた瞬間にわかる構造”が向いています。

  • 透明BOX
  • ラベルを大きく貼る
  • 色で分類する
  • 棚は隠すより見せる収納

とにかく見て分かる=行動につながるこの仕組みが重要です。

4. 掃除を“心理的に軽くする”環境を作る

掃除ができない最大の理由の一つに「部屋が散らかりすぎて、手を付ける気力がなくなる」があります。

そのため、最初から散らかりにくくする仕組みが必要です。

  • ゴミ箱を増やす(部屋に2〜3個)
  • 脱いだ服の行き先を1つに決める
  • 床に置く家具を減らす
  • 使う頻度が低いものは別の部屋へ移動

これだけで、あとの掃除負担が劇的に減ります。

5. 毎日「リセット」しない

多くのADHDの人は「毎日、片付ける必要がある」と思い込んで苦しくなります。

しかし、ADHDの特性では、波のある生活リズムは普通です。

  • 気力がある日は進める
  • 無理な日は「床のもの3つ拾う」だけ
  • 週1でまとめてOK

こうした柔軟なやり方の方が長続きします。

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